筋肉は筋繊維という髪の毛一本ほどの細長い繊維状の細胞を束ねたものです。
筋肉を構成する筋繊維には大きく分けて「速筋(白筋)」と「遅筋(赤筋)」の2種類があります。
速筋と遅筋という名前は何となく知っているという方も多いと思います。
ですが、何が違うのか?どんな働きがあるのか?はご存知でしょうか?
速筋と遅筋にはそれぞれ異なった特性があり、スポーツやトレーニングをする上ではとても重要な働きをします。
今回は、速筋と遅筋の違いについて解説します。
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速筋と遅筋の違い
速筋とは
速筋はその名の通り、収縮するスピードが速く瞬間的に大きな力を発揮します。
その反面、スタミナは少なくすぐにバテてしまうという弱点があります。
速筋はダッシュやウエイトトレーニングなどの無酸素運動で主に使われる筋繊維です。
わかりやすい例としては陸上の短距離選手があげられます。
陸上の短距離選手は100メートルなどの短い距離であればすごいスピードを発揮しますが、長い距離となるとバテてしまって走れませんよね。
これはトレーニングによって速筋が増えて短距離に特化しているからなのです。
ちなみに、速筋を鍛えるとゴツゴツとしたマッチョな身体になりやすいです。
つまり、マッチョな人は速筋が発達していると言えます。
筋肉ムキムキの人に長距離走が遅いイメージがあるのはそのためですね。
速筋=白い
速筋は別名「白筋」とも呼ばれます。
これは名前のとおり白く見えるからです。
速筋が白いのは人間だけでなく魚も同じなんだとか。
ヒラメやカレイのように海底に潜んで小魚を瞬時に捕食するタイプの魚は、瞬発力に優れた白筋が多いため白身になるのです。
速筋の鍛え方・トレーニング方法
速筋を鍛えるには、ベンチプレスやバーベルスクワットなどのウエイトトレーニングや短距離のダッシュなど瞬発力を必要とするトレーニングが効果的です。
ウエイトトレーニングの場合には、軽い負荷で回数を増やすのではなく1セットで8~12回くらいしかできない高強度の負荷でトレーニングすることが重要です。
軽い負荷では筋持久力を鍛えることになり効率が悪くなってしまうので注意しましょう。
遅筋とは
遅筋は速筋とは逆で、収縮するスピードが遅く弱い力しか出せませんが、スタミナがあり持久力に優れているという特性があります。
持久力というところからもわかるように、ランニングなどの有酸素運動の際に主に使われます。
わかりやすい例では、マラソンランナーがあげられます。
あれだけ長い時間走り続けることができるのは遅筋繊維が発達しているおかげなのです。
遅筋=赤い
遅筋は別名「赤筋」とも呼ばれます。
白筋の時と同じく、遅筋は赤く見えるから赤筋です。
赤身の魚の代表であるマグロやカツオは、休むことなく泳ぎ続けられる持久力の高い赤筋が多いため身が赤いのです。
遅筋の鍛え方・トレーニング方法
遅筋を鍛えるためにはランニングなどの有酸素運動が効果的です。
遅筋を鍛えることで筋持久力がついて長時間の運動でもバテにくい身体になります。
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また、遅筋は脂肪をエネルギーに変えるのでダイエットにも効果的です。
ランニングは短時間で終わるのではなく、30分以上は続けるようにしましょう。
速筋と遅筋の配合率は?
速筋と遅筋の配合率は基本は50%ずつですが遺伝による個人差があります。
また、トレーニングによって速筋、遅筋の割合を変えることもできるとわかっています。
筋トレや短距離走のような瞬発的なトレーニングを積むと速筋が増えます。
逆に、ランニングのように持久力が必要なトレーニングを続けると遅筋の割合が増えていきます。
その結果として、短距離ランナーの脚には速筋が多く、マラソンランナーの脚には遅筋が多くなります。
それぞれの運動に適した状態へと筋肉が変化していくのです。
マッチョになるには速筋が重要
筋トレによって筋肥大を起こすのは遅筋ではなく速筋です。
マッチョな体を手に入れるためには高負荷のトレーニングで速筋を増やし、大きくすることが重要なのです。
遺伝的に生まれつき速筋が少ないタイプの人でも、時間はかかるかもしれませんがトレーニングを続けることで速筋は増えていきます。
また、遅筋と比べて速筋は加齢で衰えやすいという弱点があります。
筋肉の衰えをできるだけ防ぐためにも筋トレで速筋を鍛えることは重要なのです。
まとめ
速筋はダッシュや筋トレなどの瞬発的な力が強いがスタミナがないという特徴があり、反対に、遅筋は瞬発的な力は弱いが持久力に優れるという特徴があります。
速筋と遅筋の割合は遺伝で個人差がありますが、トレーニングを積むことで後天的に割合を変えることができます。
加齢によって衰えやすい速筋を守るためにも、継続的な筋トレはとても重要ですよ。